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2021年3月19日

【総料理長にこだわりを聞く!シリーズ】~第1回~


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当ホテルの総料理長である金子シェフに、料理や調味料、道具へのこだわりを聞くシリーズ。
皆様に料理のことをもっと知ってもらい、料理の楽しさ、美味しくなるちょっとした一手間など、ためになる情報をお届けしていきたいと思っております。

記念すべきシリーズ第1回のテーマは「塩」!
塩は料理に欠かせない調味料です。どのような料理にどの塩を合わせるかによって風味が全く変わってきます。そんな奥深い「塩」について総料理長の金子シェフに話を聞きました。

—-塩といっても海水塩や精製塩、岩塩など様々な種類がありますが、選ぶポイントは?
色々な塩がある中で、ミネラル豊富な自然海塩を選ぶようにしています。ミネラルがもたらす酸味や渋味・苦味など、塩に限って言えば「雑味」と呼ばれるいろいろな味わいが入り混じっているので、塩っ辛くありません。
その雑味のある塩味が、繊細であったり芳醇であったりする食材の勢いのある味わいを引き出してくれます。
今までいろいろな塩を手にして試してきました。日本各地はもとより世界の塩を集め、25種類くらいの中から現在は4種類の塩をメインに使用しています。

—-その4種類の塩を教えていただけますか?
イギリスの王室御用達の塩「マルドン」、フランスの塩「カマルグ産フルール・ド・セル」、広島の瀬戸内海の塩「海人の藻塩」、北海道熊石の「万葉の詩塩 極」です。

—-それぞれの塩の特徴と、どんな料理に合うか教えていただけますか?
まず1つ目は、イギリス王室御用達の塩「マルドン」。
200年以上も前から伝統的製塩方法で作られるイギリス東部、エセックス地方の塩です。
塩分濃度の高い海水を平釜で15時間程煮詰め、鍋の底に沈殿した結晶を集め乾燥させて作られています。
こちらはとても美しいピラミッド型に結晶化されているため、溶けるのに少し時間がかかります。
料理と一緒に口に入れると後から遅れて溶けてくるので、味にコントラストを加えることができます。当ホテルではフォワグラのソテーに使っております。
フォワグラの甘みが口の中にジュワーっと広がった後、じゃっかん遅れて塩味が広がり、口の中で料理が完成するといった具合です。味加減としてのみ使うのではなく、是非食感もお楽しみいただきたい塩です。

2つ目は、フランスの塩「カマルグ産フルール・ド・セル」。
南フランスのカマルグ地方で作られており、古代ローマ時代から続く大変歴史のある塩です。海水を蒸発させ手作業で採取するという伝統的な手法を守って作られ、その中でも最初に塩田の表面に現れた繊細な結晶を丁寧に手作業で収穫したものが「フルール・ド・セル(塩の花という意味)」で、フランス国内でも最高品質という位置づけの100%天然海塩です。ミネラルが豊富に含まれ、濃厚で力強い味が特徴です。当ホテルではガレット・ブルトンヌなどの洋菓子やサフランのスープ、仔牛のだし汁の「フォンドヴォー」や魚介だし汁の「ヒュメドポワソン」など、洋風のスープやソースを作る際にはこちらの塩を使用しています。

3つ目は、瀬戸内海の塩「海人の藻塩」。広島県の上蒲刈島にて古墳時代の土器が発掘された際に製塩土器が見つかったことから藻塩の研究が始まり、ホンダワラ(海藻)を海水に浸し乾燥させるという工程を繰り返して塩分濃度を高め、それを土器で煮詰めて塩を採るという、先人の知恵を現代に伝承したのがこの「海人の藻塩」です。藻塩特有の海藻成分のため茶色がかっており、まろやかな口当たりが特長で、当ホテルではガーリックライスや魚料理に使用しています。日本の塩というだけあって、日本の食材にとてもよく合います。

4つ目は、北海道の熊石の「万葉の詩塩 極」。こちらは海洋深層水を汲み上げて作られています。海洋深層水とは、水深200m以深の海水のことで、特に日本海の深層水は他の海と交換されることがなく、内部でのみ循環されています。これが一般的に「日本海固有水」と言われおり、熊石海洋深層水は「日本海固有水」です。カルシウム、マグネシウムなどのミネラル成分も豊富で、栄養源は表層水の10倍になります。私は「熊石の海のスープ」と呼んでいます。ほんのり出汁感を思わせる要素があって、お肉の味わいをしっかりと引き出してくれる塩です。当ホテルでは21CLUBでお出ししているステーキに、お客様に直接降り塩としてお好みでかけていただいております。

—-ありがとうございました。それぞれに製法の違いや歴史があり、とても興味深かったです。最後に一言お願いいたします。

塩は大事な調味料ですが、あくまでも食材を引き立てるための一要素として考えております。調理方法や素材の切り方、表現の仕方や組み合わせ等、すべてが合わさって一つの作品となりますので、料理とはとても奥が深いものです。もっと良い組み合わせがあるのではないか、もっとおいしくなるにはどうしたらいいかと、決して現状に満足せず日々模索しております。
より良いものを作るために、そしてお客様にご満足いただけるような料理を目指してこれからも精進していく所存です。

—-ありがとうございました。それでは次回もよろしくお願いいたします!皆様お楽しみに!

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